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ポプルスさんで文庫本を作ってもらった感想

カテゴリ:感想文  投稿日:2015/11/08

コミティア114で新刊として出す「魔法中年っ!」の文庫本株式会社ポプルスさんに印刷・製本していただきました。自分用の記録という意味も込めて、ここに感想を書いておきます。

発注の際の仕様は次の通り。
サイズ:A6(105mm × 148mm)
綴じ:右無線綴じ
本文:236ページ 1c(スミ) 淡クリームキンマリ 70k
口絵:2ページ 4c(本文の前に入る) コート90k(銘柄不明)
表1-表4:1c(スミ) 白上質180k(銘柄不明)
表2-表3:印刷なし
カバー:4c コート110k(銘柄不明) クリアPP加工 巻き処理含む
部数:30部
価格:40,835円(税込)

1部あたりおよそ1,361円。たしか、クーポン等の値引きサービスは利用していません。
なお、全てオンデマンド印刷。組版にはInDesign CC(2015)を使用し、x-1aのPDFで入稿しています。
小説本です。

印刷品質について

本文:

オフセット印刷と比べれば解像度的に劣るようですが、普通に読む分にはまったく気にならない程度のものです。マット感のあるトナーで、凹凸もほとんど感じません。ちょっと驚いたのは、トナーのノイズがほとんど見られないこと。ここで「ノイズ」と僕が言っているのは、何もないはずの白部分にトナーがパラパラと乗ってしまう現象を指しています。まったくゼロというわけではないのですが、しかし発生頻度がかなり低いように感じます。レーザー方式の宿痾だと思ってたのですが、これはすごい。
本文
ただし、イラストや漫画などでグレー部分があると、若干ムラを感じます。また、広い面積のベタの周りにグレーがあると、ベタから1mmぐらいまでの距離にあるグレーが若干薄くなるようです(イメージとしては、半径の広いアンシャープマスクをかけたような感じです)。問題になるような品質ではないと思いますが、挿絵が入るものの場合はあらかじめ出力見本で確認した方がいいかもしれません。
あと、細かいところですが、オンデマンドで気になる表裏の見当合わせは概ね良好でした。

表紙:

綺麗です。グレーも安定して出ています。本文に比べ光沢感があるので、同じ1cでも機種が違うのだと思います。

カバー:

画質面で、ちょっと気になるところがありました。
ちょっと文字がかすれているように感じたので目を凝らしたところ、スミ100%の文字オブジェクト(明朝体)の細い部分が点線になっていました。
点線になってるところ
頑張って撮影してみました。わかりますでしょうか。「貞」のところです。
この部分は10Qの明朝体であり、点線になったところは測ると0.05mmの罫とほぼ同等の太さなので、かなり細いのは確かです。しかし、完全に消えているとかトナーが乗らなくてかすれたという状態でなく、明らかに点線として印刷されているので、おそらくRIPの段階ですでに点線化されていたものと思われます。全体的に同様の状態であり、14Qの明朝体や0.12mm(オモテ罫)の部分でも同様の現象が見られました。ルーペで見ると、水平、垂直の罫線でも凹凸があります(改めてデータを確認してみましたが、いずれもスミ100%です)。
全体を見ると誤差拡散方式ではなくアミ点をシミュレートした出力だということがわかるので、あくまで想像ではありますが、そのアミ点シミュレートのRIPがどんなオブジェクトでも「アミ点を並べる」という形で処理するRIPなのだと思います。
ちょっと気になります。

色の正確性については、自分の環境にJapan Colorを再現できるような出力機や濃度計などの測定器がないため、評価できません。思っていたよりイエローが弱くてシアンが強いかな? という印象を持ちましたが、こればっかりは自分の環境を整えることが大前提です(そんなお金はないのでどうしようもないですけど)(仮に整えたとしても、カラーパッチのついた出力見本をいただく必要もあるし、なかなか大変)。

それと、110kの紙のカバーでは、表紙の方に濃い絵柄があると、白い領域からは若干透けて見えますね。

PP加工について。これは、文庫本セットではデフォルトで入っている加工なのですが、とても良好です。クリアPPでお願いしたら、一気にラノベ感が出ました。

口絵:

色についてはカバーと同様。
ただ、こちらはなぜか文字がはっきりしています。アミ点をシミュレートしているのは同じようですが、機種が違うのでしょうか、それとも設定が違うのでしょうか。わかりません。

製本品質について

自分の中で評価軸を持ってないので、簡単に。

折り加工:

面付がわからないんでなんとも言えませんが、折ズレは感じません。

糊付け:

ノド側が開きにくいということもなく、良好。表紙のズレも感じません。

断裁:

綺麗。歪みは感じません。

カバー巻き:

綺麗です。たまーに、ものによっては、ちょっと斜めになってるところがあるかな……。手作業だと思いますので、個体差が出やすいのかも。

発注の流れ等について

「マイページ」というシステムから発注や入稿等ができます。迷うところはほとんどなく、問い合わせもそのシステム上からできますので、使いやすいです。データ入稿ならそのシステム上でアップロードできますし、履歴も確認できます。

価格について

少部数でこの仕様では、おそらく相当安い方じゃないかと思います。どこも文庫サイズって高いですから。

総評

カバーのところでいろいろ書きましたが、総合的にはとても良質だと思います。特に、本文のノイズの少なさには感動しました。本当にいいものに仕上げてもらったと思っています。



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