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苦手な言葉

カテゴリ:雑談  投稿日:2015/01/08

このところ「ほぼほぼ」という言葉を耳にするようになった。「アカペラ」と同じ抑揚で発声されるあの「ほぼほぼ」の存在に僕が気付いたのはたしか三年ぐらい前のことだったが、未だに慣れない。

そういう言葉はこれまでにもあった。中学生の頃にはじめて知った「サクッと」や「サクサク」なる言葉も、そのひとつ。進研ゼミのDMについてくる勧誘漫画に「15分でサクッとやっちゃおう!」と主人公が意気込む一コマがあったのだ。それが僕と「サクッと」の邂逅であり、なんとも言いがたく喉にまとわりつく不快感があったことを今でも覚えている。

なぜその言葉が苦手なのか、それは上手く説明できない。トマトが苦手であることと同様に「ほぼほぼ」が苦手なのであり、同じ味を感じながらその味ゆえに「ほぼほぼ」を好む人もいるのだろう。僕は「ほぼほぼ」の青臭さとか、ぶよぶよした感触が気持ち悪いのである。

そんなことを言っていながら、ながいこと「サクサク」のある世界に暮らしていたせいか、最近は「サクサク」を意識することは少なくなった。「サクサク」については、存在するのがもう普通で、耳にしても飲み込めるようになったし、もしかしたら僕の口をついて出ていることもあるかもしれない。ああ、新しいコンピュータはサクサク動くし、できる男は仕事をサクッと終わらせるのである。それならば、「ほぼほぼ」にもだんだん慣れていくのか。むかし嫌いだったほうれん草が今では大好物になったように、誰よりもそれを愛する時が来るのだろうか。

ところでこの「ほぼほぼ」、「ほぼ」と異なり、若干ではあるが皮肉的なニュアンスを含んでいるように感じられる。どこからその味わいが生まれているのか分からない。分からないが、「ほぼほぼ」はただ「ほぼ」を二つ重ねただけのものでない別の言葉なのだろう。マッシュポテトとマッシュポテトを合わせてダブルマッシュになるのと同じように。



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“苦手な言葉” への1件のコメント

  1. 怒ってます より:

    私も「サクッと」が嫌いなんですが、それは世の中にサクッと済ませて良いことなんてあるんだろうかという疑問からです。
    昼食時に「サクッと何か食べちゃいましょうか」と言われると、「なんで俺の人生の大切な一食をお前の判断で粗末にされないといけないんだ」と思います。

    他には「ハンパない」でしょうか。口語表現での「ハンパない」は良いんです。しかし、最近はニュース記事や書籍でも「半端ない」という表記があります・・・ 「半端ではない」と言え!

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