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画像データと印刷機の解像度の違いについて

カテゴリ:同人印刷  投稿日:2012/10/14

印刷に関わる解像度の単位には「ppi」と「dpi」があります。この2つは完全に同一のものを指す場合と、区別して使われる場合とがあります。
2つの単位が意味するところはとても似ているのですが、それが画像データの解像度であるのか、それとも印刷機の解像度であるのかによって考え方が全く異なります。

単位の意味

「ppi」は「pixel per inch」の略、「dpi」は「dot per inch」の略です。 そもそも解像度とは、そのグラフィックがどれほど細かいかを示すための単位で、その数値が大きければ大きいほど、グラフィックはより精細だということになります。

pixelとは

そもそも画像(ラスター画像) は、点の情報の羅列によって出来ています。その点の事をpixelと呼びます。

このpixelには色の情報が含まれています。RGB画像であればRed Green Blueの各色、CMYK画像であればCyan Magenta Yellow Blackの各色の情報が、濃度情報として入っています。
pixelのことをdotと呼ぶこともあり、そのときにdpiという単位が使われる事がありますが、意味を混同してしまう危険性がありますので、なるべくpixelと呼んだ方が無難かと思います。

dotとは

(特にここでは、印刷機に於けるdotとします)
印刷物も、点の羅列によって表現しています。ただし、pixelとは少しだけ事情が異なります。

dotには、色の情報は含まれず、点が存在する、しないという情報しか持つ事が出来ません。
印刷で濃度の差を作る時は、点の数によって表現します。一般的なカラー印刷では、dotを集合させて「アミ点」を作ります。

アミ点

アミ点はdotの集合体です。 dotの説明のところに載せた画像がアミ点の例ですが、このように、一定の面積辺り、何dotにインキが乗るかによってその濃さが決まります。一般的なオフセット印刷では、インキの厚みは常に一定に保たれるように印刷するため、濃度の表現は面積でしかできません。
例えば16×16dotの面積を一つのアミ点に割り当てると、257段階の濃度表現が理論上は可能になります。

画像の解像度と印刷の解像度、そして線数

印刷の解像度で「2800dpi」と書かれている例を考えます。 このとき、アミ点を16×16dotの面積で作成するとします。1inchあたりに並ぶアミ点の数は2800/16で175になります。これが「線数」と呼ばれるもので、単位は「lpi(line per inch)」です。
印刷において諧調を表現する為にはアミ点にする必要がありますから、解像度を画像データと比較する場合はこの線数を比較する方が妥当です。

単純な比較は現実的ではない

アミ点で諧調表現が出来るのだから、175lpiの印刷のために用意する画像は175ppiで良い気がしますが、事はそう単純ではありません。画像データと印刷と、そもそもデバイスが異なる事情を勘案しなければなりません。
カラー印刷では、4色のインキを使って表現しますが、その際、アミ点パターンがいくつも並ぶ事によって発生するモアレを低減する為に、線の角度を変えて印刷しています。線の角度を変えるという事は、1つのpixelから1つのアミ点を作り出すという1対1の変換が成り立たない事を意味します。
恐らく他にも色々要因はあると思いますが、上記の事実だけでも、175ppiの画像では175lpiに最適な印刷データにならないことが分かると思います。

実際印刷に使われているのは

よく言われるのは「350ppiの画像データが印刷に適している」という話です。これは経験的に正しく、実際350ppiの画像データを印刷して粗いと思う事はまずありません。175ppiに比べて四倍の面積がありますから、角度のついたアミ点に変換する時でも滲んだように見えてしまうことが無い様です。
ただし、注意しなければならないのは、これは特にカラー画像、グラフィックの印刷をする時の話だということです。単色印刷や文字を印刷する際には、また少し違った考え方が必要になります。これはまた別の機会に纏めようと思います。



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